lit/竜門勇気
 
力かもしれない。
学力も知能も趣味嗜好も同じ俺たちは共有されたイントラネットのように全てを共に分かちあった。
七人分の収入はそれぞれを満足させるだけのものを容易く手に入れることができる額だったからだ。
ゲーム機もソフトも雑誌にレコードも、みな趣味が同じなのだから、随分安く済む。
いつも同じだった。同じ女性に心惹かれ、同じ男に羨望とやっかみを感じながら俺たちはじっと一つの部屋で黙りこくり冷めたコーンスープを口に入れたような違和感に耐えていた。

家の中を行き交う俺たちは俺ではないが、俺自身もマクロ視すれば七人の無個性な群体の一部に過ぎないわけだ。誰も口には出さなかったが俺たちは珊瑚の群小
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