続・素顔同盟/不可思議/wonderboy
り全然リアルで
俺は泣いた。 満面の笑みで。
部屋中に彼女の笑顔が散乱していた。
おっさんだけが悲しそうな顔をして俺を憐れんでくれた。
俺たちは、素の表情なんて一つももってやしないんだ!!
俺は喪失感や、少しの怒りや、諦めやとにかく複雑な気持ちで出社した。
でももちろん顔は笑顔だった。
技術は進歩しているのだ。
会社に着きエレベーターに乗るとあのブサイクな同期の女と乗り合わせた。
二人きりだった。
髪の毛はつやがなく縮れ、目はきれいな一重まぶたで、鼻は天井を差し、口元はカエルの
ようにだらしなく、相変わらず全世界の不幸を一人で抱え込んでいるような醜い表
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