どこまでもどこへもどこでもなく/石川和広
緑の薄い、どういうんだろ
なんかヘラみたいに二〇センチくらい上にのびてるだけの
それが何本か
ずいぶん 前のことです
ひどく悲しいときにシミだらけのコンクリート塀の
横の細い道を歩いていてですね
その前にバスを降りました
大学にいってた頃ですか
バスに乗っている間に曇りから
どんどんむっとした感じの空気になってきて
大学のそばのバス停で降りたら
すごく爽やかな雨で、傘はもっていましたが
そういうのがあったって
何の支えにもならなかった
そういうとき雨つぶがぼこぼこのコンクリートの道に
いっぱい当たっててひどく田舎の学校で
河があり、むこうにはため
[次のページ]
戻る 編 削 Point(11)