辺の音/木立 悟
 
見つめる宝石
波に残された波の原石


金属の草が擦れあう音
粉なめる猫は人語を解し
だがいつまでも語らぬまま
森のなかの野に踊る


白があり 傾きがある
夜の波に声は混じる
水の羽 水の羽
発ちつづけても波は果てない


縦の音が狭まってゆく
鍵は壊れ 街ははばたく
砂も水も陽も針も
息の時間を見つめている


呑みつづけ呑みつづけ呑みつづけ
流れ去らぬものこそが
常に常に降るものと知る
常に常に忘れ去りながら


紡いでも紡いでもほどかれてゆく
紙をひきちぎる間に消えてゆく
夜の朝 夜の昼
夜の午後に照らされる指


灰が灰
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