静かに消えてゆく/木屋 亞万
 
だと子どもが言った
どれも本当だけれど、適当な言い訳でしかない

森が朽ちてもまた新しい森ができるさ、と老人は笑っていたけれど、
自然の息吹はいつも苦しそうなので
これ以上、負担を増やすようなことをするなよと思う
それでも地球は同じ速度で回り続けていて
森は静かに消えていく

僕がかつていた気球は
いくつもの団や会の人がいて
脳ミソに雲が吹き込んでくるような
そんな天国に近い場所だったのだけれど
いつのまにか人が減って
鉄の鎖の中に閉ざされてしまった

僕らの心の中にそれは生きているよと言ったって
みんなバラバラ、
嵐か、金か、地震か、火事か
さよならの理由で
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