静かに消えてゆく/木屋 亞万
 
由ではなくて、運命への苦情を言いたいのだ

火遊びしていた女の元に、火薬男はやってくる、
警告してやるだけマシだぞと声を荒げているけれど
静かに消えて欲しいと思う住人は多いと思う、少なくともこの部屋に二人
しあわせな喘ぎ声なら毎週末聞いても良かったけれど
喧嘩はごめんだ、火薬が爆発しそうになったら、警察に電話しよう

痛みきった歯ブラシで靴を磨く
マロニエが今年は咲かなかった
フランスで会ったあの日本人は、今どうしているのだろう
僕が今年から育てるとして
また花が見れるのはいつだろう

戻る   Point(2)