点景/生田
 

 やがて、線をみずに点のみをみていれば楽な事を知る。求めるものがない時にはそう接するようになると、歩く道からみえる木々に葉のない景色が続くようになった。煙草を覚えておいてよかった。素の私では、受け止められない景色だった。

 数ヶ月ぶりに会った異性の友人の愚痴に付き合った。酒を呑もうという話になり、その土地に詳しくない私は彼女に店選びを任せた。連れて行かれた先は、ボーイズバーとでもいうのだろうか、向かいに二人の男性が座り、話の相手をするようだった。周りをみると、どうやらこの手の店のサービスのようであり、水商売風の若い女性客が店員と差し向かい、談笑をしていた。
 店に入った時点で、店の広さの
[次のページ]
戻る   Point(0)