2020/モリマサ公
効く
月の無い空は昨日の豪雨のおかげで星をいくらでも数えることができたし
そのおかげで方角がわかった
北斗七星の方からオーロラがゆっくりやってくるのがみえる
どこにいけばいいんだろう
高速道路がぶら下がり地上には車たちがつきささっている
関東平野を実態を失ったいくつもの歌が横切る
まだ立っているビルのまどのひとつにちいさな明かりがともっていたが
そこはもう場所ではないことを知っていた
次の日も
生存者を誰もが探している
武器が無かったので気配を殺すしかなかった
二階と一階が一緒になってしまったモールの
砕けたショーウィンドーのガラスの上にしゃがみ込んで
彼らの臭いが
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