銀羽/木立 悟
窓に映る窓 沈む窓
手首から土
幾度もひらく
白く小さな花火のはじまり
光なく光ある
言葉の淵の舞をすぎ
針を静かにつつむ手のひら
大きな銀の鳥
唱と踊りの輪
大きな大きな
飛べない鳥
さみしさの向こう
流れを見に来て
雪の上の日時計
一枚の旗の空
三十七度の水の稜線
夜の方へ夜の甲へ
影を落として拾わずに
土浴びをする羽が聞こえる
年老いた手がそれを見ている
音だけの赤子 羽の赤子
草の突起に生まれくる
針は知りません
ほらここが 釘のあとです
赤黒いでしょう
やがて
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