止まり木のひと/恋月 ぴの
 
れたことのある人なら覚えるだろう
よくありがちな錯覚に囚われてしまったけど

あのひと独特の拘りなのだろうか
振り向けばお姫様の物語りにでも出てきそうな白い鳥かごをスーツ姿で提げていて

手乗りになっているからと勧められるまでもなく
彼は私たち家族の一員となっていた

機嫌良く囀っているときには意外なほど重かった彼の身体も
小さな紙製の箱に納まってみれば
羽ばたいてしまった魂の重さ以上に軽く感じてしまい
めそめそといつまでも涙を流す私の姿に戸惑いながらも咳払いを繰返す優しさに背中を押された

こんなところに
誰しもがそう思わざるを得ない瀟洒な建物の一角にペット斎場はあ
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