海について/一ノ瀬 要
のてのひら。あずけてくれたのは、
知ってるかい、アーシュリー。
貝殻たちが、覚えている、むかしむかしの、わたしたち。
包装紙に、おおわれた手をつなぐ、かなしい話
たどたど、しい、さざなみで、ゆるして、くれる。
流星群がおちた、さき。ひかりの、束。
ただしさ、かもしれない。
らんざつにこぼれた、おとうさんとアーシュリーの。
(わたしの)
えたいのしれない、どうぶつのなきごえ。
すなけむり、潮、のにおい。
そう呼ぶには、ゆるされていなかった、世界じゅう、花の根
の。綻び
乾涸びた浜に、立ちつくす、おとうさん。
はじまりのない、空から。無数にぶらさが
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