出口も入口もないところにいる/木屋 亞万
を信じ、想像しか拠りどころがないならば
私と一緒に目を閉じて、言葉の海に溺れればいいのです
その想起の中に、何もかもがあります
それはあなたの経験の一部始終であり、
誰かの一生のかすかな残り香なのです
目を開けば日常に、花の散った気配だけを感じるはずです
世界は今日も爆発しています
ビルもバスもビールも猫も歩道橋も焼きそばもポップコーンも
バットもミサイルもアスファルトもゴダールもエミールもカモミールも
夕日は燃えています、月は狙っています
爆破の火の粉は、明るく燃えて、
飛び散る水滴は、ペンキのように色づいて
街を明るく染めていきます
さよなら、夜なら、小夜更け
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