荒地にて/徐 悠史郎
 
て渡る」をオーデン式にもじったら、「その石橋、叩き壊して渡りましょう」ぐらいになるのか。それはもはや<橋を渡る>という安全な行為ではなく、それこそ「危険」な跳躍になる。
 荒地派がどんな具合に跳躍したかは個々の作品が示している。跳ぶときの足場については多くの詩論や論考が築地した。そしてそのうえで想定された着地点はどこであったか。。。同人誌「荒地」は長く大きな影響を詩に関わる人たちに与えてきた。じっさい、作品もいい。そしてなによりも敗戦という状況を踏まえて日本で詩を書くということについて、深く格闘し、しかも政治的言動や党派的活動に(少なくとも「荒地」解体までは)流されなかった。だがもう<戦後>にカ
[次のページ]
戻る   Point(10)