荒地にて/徐 悠史郎
 
の本の最初の一行を引いておこう。


   なんとも息苦しい、いやな気分だ。


 その後に入沢康夫と谷川俊太郎との対談が引き合いに出され、北川の次のようなぼやきが入る。


   わたしのいやな気分というのも、この入沢の感想と重なる。ただ、彼の言う
   《「ちょっとやさしくて」「ちょっと悲しくて」「ちょっとはみ出して」、結局うんと
   保守的で、本当にはみだした者には惨酷》な時代がきているというのは、別
   に詩の世界に限らない。《目の敵》にされているのは、ものを根本から考えて
   いこうとする態度であり、既成の規範の拘束力を断ち切って、自由な発想や
   思
[次のページ]
戻る   Point(10)