荒地にて/徐 悠史郎
ショウウインドウにうつる冬の河。
(北村太郎「センチメンタルジャアニイ」部分)
死の滴り、
この鳶色の都会の、
雨の中のねじれた腸の群れ、
黒い蝙蝠傘の、死滅した経験の流れ。
(田村隆一「イメエジ」部分)
いま、どちらも北川『荒地論』の引用からのマゴ引きをした(38〜39頁)。原典では他に三好豊一郎と木原孝一の作品の一部が引用されている。北川の指摘は、荒地派の見ようとしたこのような「戦後」の眺めが、一様に「ヨーロッパの戦後(とくにWW?後のエリオットやオー
[次のページ]
戻る 編 削 Point(10)