それから俺は3分ほど何も考えなかった/ホロウ・シカエルボク
 
いる、開発地域のがらんどうのスペースを熱の無い火が赤く染めて…二番線、ドア閉まります、とアナウンスがそこらにこだまする、発射のベルを聞くと次の列車に飛び込んでみたい衝動が生まれる、いまの俺にはどこかに出かけるような持ち合わせなど無い、駅の西側に出来た新古書店に入る、店員の挨拶が大声過ぎて気が滅入る…まるで何かもっと値の張るものを売りつけようと目論んでいるみたいに思える…エドガー・アラン・ポーをペラペラとめくって、ギャグ漫画を読んでるみたいに笑ってみた、となりで何とかいう映画の原作本を読んでた若い女が自分を疑ったことのない目で俺のことを睨んだ、ねえ、おじょうちゃん…俺は少しチャンネルを切り替えればこ
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