それから俺は3分ほど何も考えなかった/ホロウ・シカエルボク
 
ちに、いつの間にか昔暮らしていたエリアに住みつくようになって…いつかの通学路を逆に、自転車を転がして毎朝仕事に向かう
棟割の木造が並んでいた川沿いの通りが少しずつ、コーポやハイツが立ち並ぶ真新しい通りに姿を変えてゆく、変わるのだと人は言う、だけど俺に言わせればそんな景色はいつも死を連想させるだけの代物だ、いくつもの店がシャッターを下ろし、いつしか更地になる―それもまるで気づくこともないうちに―がらんどうの、明るい砂が敷き詰められた更地から20年ほど昔のことが淡い煙のように立ち上る、俺が無垢な子供だったころの時代は、そろそろ神話ほどの距離になりつつある
おまえの神話は時を食いつぶしながら何を
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