それから俺は3分ほど何も考えなかった/ホロウ・シカエルボク
 
コロコロとした糞の中に練り込んで押し出しながら、ただただ閉店の時間を待っているみたいに見えた―いつか人待ちの余興にUFOキャッチャーで手に入れた腕時計をプレゼントしてやろうか、ポケットに入ったままになっていたんだ、俺には用の無い代物だから―お前がもしもそれを欲しいと思うのなら無料で譲ってあげてもいい、そう話しかけようとしたけれど、細長い店の奥で椅子に腰かけてにこにことこちらを眺めている店主の婆さんの前ではちょっと難しかった…なので時計はまたの機会に必要な誰かに譲ることに決めた、もっともそんなふうに先延ばしにしてるうちに動かなくなってしまうとしたものだけど
アーケードの出口には無料配布の情報誌が
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