午後の喫煙/佐々宝砂
三十はとうに越したが
精神年齢がそれほどいってるかは疑わしい
とにかく子どもは二人ほどいる
「ほど」の部分に何があったかは想像に任せる
下腹はよれたTシャツを膨らませ
ジーンズはさっき下の子がこぼしたアイスに汚れている
お盆まっただなかの遊園地は
当然ながら人でいっぱいで
仕事の方がラクだとしみじみうんざりしている
子どもとその母親は
クーラーの効いた土産物屋で何かを物色している
聞きたくもない演歌がガンガン聞こえる
連れてきたくもなかった自分の母親が
古ぼけた日傘の中で暑いわねえと繰り返す
サイダーか何かでべとべとするベンチに坐って
温もったスーパーマイルド
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