ひとつずつ死滅する暮れ方からのアルペジオの残響/ホロウ・シカエルボク
 
れを切り取るわけにはいかない)、俺はしばらく見つめていた、炎の様に明かりが揺れたりしないかと思って…ゴミを出しにきた店の娘が怪訝な顔で俺のことを見たので、ここに燃えるという概念が果たして存在するのかということについて少し考えていたのだと俺は説明した、そんなことどうでもいいわ、という調子で娘は頷き、それであなたをお客様として扱う必要はあるのかしらと娘は呟いた―その必要はないよと俺が言うと娘はいいとこの出みたいな会釈をして偽のランプの向こうへと消えていった
あの娘はきっと偽の灯りというものについてよく理解しているのだろう
昔は美しかった、というどぶ川のそばに辿り着く―この街の終わりの風景だ―そして
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