ひとつずつ死滅する暮れ方からのアルペジオの残響/ホロウ・シカエルボク
 
しておそらく時刻は真夜中に近いのだろう、潜む者の数が増えてずっとざわめいている…昔はそれを恐怖だと感じたこともあった、だけど、いまは俺もどちらかと言えばそんなふうにして暗がり降り注ぐ灯りの数を数えているのだ、偽の炎は闇を揺らすことが出来るかい、模倣された揺らめきは同じだけの温もりをそこに捧げることが出来るかい、渦中にいて傍観する在り方が感じ取るものは細かく爪弾かれる弦楽器の音に何らかの意義を感じることが出来るかい、そしてそれを何らかのやりかたで強く記すことが出来るかい、腹腔は満たされるのかい、アスファルトを踏みしめる腐葉土の感触はいつか渇く時が来るのかな…その靴底でどこへ行こうとする、その靴底でどこへ行こうとするんだ、渦中にいて傍観する、それは、渦中にいて傍観しないものとどちらがより学ばないのか、偽の灯りは、偽の灯りは……


真新しい鍵を取り出すのだ、どちらにしても
すべての物事は必ず降りかかるのだから





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