ひとつずつ死滅する暮れ方からのアルペジオの残響/ホロウ・シカエルボク
たい、俺の腹腔を満たしつづけるものたちのさざめきを…水をくれ、水を飲ませてくれ、少しでいいから、ほんの少しで構わないから
濡れそぼった野良犬がすべてを諦めて丸く眠る潰れた酒場の軒先、張り付いた体毛の艶めきにイラついて、錆びたナイフの刃先で少し切り取った、濡れそぼった野良犬はおまけに年老いていて…(もっと哀しい気分になることはこれまでにいくらでもあった)という目つきでほんの数秒俺を見ただけだった―お前の毛玉はこの上なく憎らしい、お前の目につくところに捨ててここから去るよ
ランプ、を模したライト、火のような灯りの下にずっと、入口のドアのところまで引っ張られたいけすかないコード(だけどさすがにそれを
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