春/たちばなまこと
さなんかをイチ押しする。
「おまえらもいい大学を出た方がいいぞ」
いやらしくも受け取れるような下手な講義で
曖昧な笑みを浮かべるものだから
クラスメートの反感を買っていた。
みんなは春を蔑んで見ていたが
私は今でもあの授業を思い出す。
修学旅行のバス
左では友だちが眠っている。
前の席には春とバスガイド。
生徒に話しかけらることがない春は、ガイドと必死に会話をしていた。
私は身を乗り出して言った。
「先生、あんまりガイドさんを困らせちゃだめだよ」
まるで日頃から慕っている生徒のようにだ。
「ははは。生徒に怒られちゃった…」照れ笑いが静かに跳ねた。
私も友だちの真似
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