映画日記、ただし日付はてきとう3/渡邉建志
 
の伸びやかな動きを見ているだけで楽しい。演奏している人間を映像で映すということに嫌悪感を抱いていたアドルノはこれを見たら何を言っただろうか。ストローブ=ユイレは不思議な構図で音楽家たちをとらえる。冒頭のレオンハルトは背後。背後から激しく動くチェンバロの指、思わず揺れる頭。/「シチリア!」。素人俳優の棒立ちっぷり。棒立ちで、なすすべなく見詰め合うこと5秒。その見詰め合いはなんだ。みんなその動けない硬直の中でそれぞれの持ち味を出し切っていて、もう変な役者ばっかり。ふだんからきっとあんな人たちなんだろう、と思わせた時点で、監督は成功している。/「アンティゴネー」。相変わらず素人俳優の真剣性、なにかが吹っ
[次のページ]
戻る   Point(3)