映画日記、ただし日付はてきとう3/渡邉建志
吹っ切れた演技が光る。怒りが直接怒り。大きな口を開いて一生懸命アンティゴネーがしゃべっている。それはいつも横顔で撮られている。その後ろにいつもどおり木の葉が揺れている。(スト=ユイはこの構図が多い。古代の誰かが話している。その後ろで木が揺れている)。遠景を撮るときにわざとしっかりと高速道路を映す(古代なのに)。/「あの彼らの出会い」。ストローブ=ユイレの眠い緑色。相変わらず森の中。なんともいえない不思議な幸せに包まれる。鳥の鳴き声が美しい。森の光も、ヴィットリーニ連作における暗さではなく、神の光の明るさがあって、私は画面の前で無になっていた。ユイレはいい作品を残して死んだと思う。例の素人演技も、いつものことながら、すばらしい。どうしてこうも生活観溢れるいい味の顔した人がたくさんイタリアにはいるのだろう。
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