俺のアッパー・カットはすごく下から/ホロウ・シカエルボク
き抜くことが出来る
横断歩道の向こうにこちらを見てにやりと笑う―携帯電話を耳にあてた男
とても神とつながりがあるような人間には見えなかった、胸の内にある腐敗が
そのまま臭ってきそうなそんな面をしていた、信号はちょうど青になるところだった
俺は飛び出してその男のもとへ走った、男は身をひるがえして俺の視界から消えようとした
一度振り向いた時の薄笑いが俺の神経を逆なでした、あいつにひとつ俺の教えとやらを学ばせてやろう
薄暗い通りを男の背中を見ながら走った、男は背中に「ストリート・リーガル」とロゴの入ったシャツを着ていた
男の足はあまり速くなかった、追いかけるうち
俺の頭の中にはほんの少し
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)