Doll/ツキチカ
「救いの無い物語を。
無ければ安い作り笑顔を。
酷く無表情な感情が欲しい。
愛無き故の欠落よりも
故無きが故の無意味を感じていたい。
ここの店には置いているかね、マスター?
何処を探しても意味のある物しか置いてないんだ」
マスターは言う―
「ええお取扱いしております。
救えない話も、
安い作り笑顔も。
無意味故の久遠を売り物にしていますよ」
歪むマスターの唇
男は顔色を変えない
「じゃあマスター。
君のお勧めをもらおうか」
男はマスターに告げる
「後悔はありませんね?」
「無いさ。
もう後悔
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