アルス・コンビナトリア:結合術 (部分)/がらんどう
 
以外のどこかだ、多分。それに「阿蘭陀渡りの人魚」だって? 私は最初それを「東洋の人魚」と言ったではないか。あれは嘘であったのか。ああ、嘘だ。あれは忘れてくれ。「阿蘭陀渡りの人魚」のほうが正しい、なにせそう箱に書いてあるのだから。日本語で書かれている。私は日本語がわかるので、それを読むことができる。「面、老女のごとく、紅毛あり。両手猿に似て又水かき有。形蛇の如く丈四尺五寸あり」とある。だが、老女というよりは猿であるし、蛇というよりは魚だ。ここにあるミイラとこの記述は全く似ていないではないか。果たしてこの箱はこの人魚のものであったのか。そもそも、この人魚は人魚であるのか。なんだ、私はいったい何を言って
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