アルス・コンビナトリア:結合術 (部分)/がらんどう
がして私の想像に確信が与えられるのであろうが、破損を恐れて私は叩かない。ゆえに私は中身が中空であるという説に確信をもたない。だが、表面の破れたところから中に張られた紙が見えている。だから私は中空だといっている。私は確信する。いや、嘘だ。そんな穴など表面にはありはしない。想像で言っただけだ。ありはしない。想像だ。「目の前にあるそいつ」だって? 嘘だ。いや、嘘じゃない、そこは嘘じゃない。ああ、ある、目の前にある。人魚だ。そう、添えられた箱書きにもそう書いてある。
「阿蘭陀渡りの人魚」と書いてある。阿蘭陀、オランダ、そう書いてある。では、ここはどこだ? オランダではないのだろう、多分。オランダ以外
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