アルス・コンビナトリア:結合術 (部分)/がらんどう
 
が川岸を歩いていたとでもいうのだろうか。川岸を歩く人魚には二本の脚が生えていたのだろう。魔女との取引により二本の脚を手に入れた人魚は海へ飛び込み泡と消えたのであったか。だが、これは川だ、海ではない。とはいえ、海と川は切れ目なく一つにつながっているのであるから、川もまた海の一部であると言い得るのでは・・・くそ、私はまた愚かなる戯言を吐いている。

あの悲劇的で感傷的な童話に登場する人魚は・・・人魚姫、姫、こいつもまた特権階級ではないか・・・それでも、男の愛を得ることは叶わなかった・・・だが、それでも、美女といえる容姿であった。
「私が欲しいのはちょっとやそっとのものじゃない。海の底にはお前の声
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