アルス・コンビナトリア:結合術 (部分)/がらんどう
魚について語ろう。目の前にあるそいつのことだ。「東洋の人魚」と呼ばれるそれはその名の通り東洋からもたらされたという伝承とともにある。その伝承の真偽はわからない。わからない。私はいま正直にそう言っている。そう言うしかないからだ。そしてそれが人魚であるかの真偽もわからない。だが、とりあえず人魚、東洋の人魚、そういう名前だ。私はそういう名前でそれを知っている。
全体の比率からいえばやたらと大きな頭部と、欠食児童のように細く伸びた二本の腕を持つ猿というような姿だ。その猿の上半身に鯉か鮭のような下半身が生えている。私はまたいい加減なことを言っているようだ。鯉と鮭はそれほど似た魚であるのか? 私は魚の種
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