アルス・コンビナトリア:結合術 (部分)/がらんどう
 
の種類について詳しくはない。その不十分な知識が鯉もしくは鮭というような適当なことを言わせたのだ。だから信じなくてもいい。魚の下半身という点だけ信じてもらえれば。その下半身はかつてはびっしりと鱗に覆われていたのであろうが、いまでは多くの鱗は剥がれ、その生き物が金色に輝いていたであろう往時を偲ばせるのは一部に過ぎない。当然、輝いていたのは下半身に限っての話だ。上半身はもはや黒く変色しぼさぼさに縮れている褐色の剛毛によって覆われている。くそ、また嘘をついてしまった。黒く変色した褐色の剛毛だって? どうしてそれが変色の結果だと言えるんだ。最初から黒い毛であったかもしれないのに。

左右に離れた大きな眼
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