男一人女一人幽霊二人/ヨルノテガム
 







  「夢の言葉」


 わたしはあなたに声をかける
 あなたは静かに両手を広げる
 わたしはあなたを見つめる
 あなたは見られることに慣れている
 わたしはあなたにふれる
 あなたはそっと息をひそめる

 あなたは二千円の花かごだった
 わたしは病んであなたに見舞われたくなった

 あなたはきっと夢の言葉を知っている




 「男一人女一人幽霊二人」


 僕が元気なとき

 君に逢いたい

 僕が元気でないとき

 君が本当に嫌いになる

 そして僕は とうの昔

 芸術に魂を売ってしまっている


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