鮮やかな薔薇が浄化する姿を/ホロウ・シカエルボク
 
い浄化みたいだ、暗闇に浮かびあがっていく薔薇の花弁…!それは哀しい転生を思わせる、刃の突き出た分娩台へと産まれおちてくる赤ん坊のすぐさまの未来を思わせる…産声なんか聞こえるわけがない、そいつはすでに背中に大穴を開けられている、何の為に産まれてきた、何の為に…ブランケットの重みほどもない、小さく、穏やかな生命……海の中に居るのだ、お前の海の中に…運命は静かに海底を目指すようなものだと、産まれる前からお前は感づいていたのか…?アンコウが小魚を含むみたいにひとつの命が消える、俺の塞がれた耳にはその時の音がはっきりと聞こえるよ…ああ、ああ、泣けないものが本当は一番哀しいのさ、海草の様に届かない手をゆらゆら
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