鮮やかな薔薇が浄化する姿を/ホロウ・シカエルボク
ないならそれが一番良い、最も素敵な終りは記憶を撃ち抜かれることだ……海底に横たわると無垢な砂がほんの少し舞い上がって、気をなくしたみたいに少し漂って落ちる、聖堂のステンドグラスから静かに降りてくる天上の埃の様に…いびつな形の深海魚たちが懸命に唇を動かしている、讃美歌だ…ハレルヤ、ハレルヤ…グロゥリィー……俺の耳には確かにそう聞こえた、光の当たらぬ場所で光を讃える馬鹿ったれども、ルシフェルの小便でも沸かして飲むがいいさ…妄信が築き上げる世界などこの世にはない…俺の胸もとから解かれた花弁が、お前の名を記した花弁が、ゆっくりと離れてゆく…暗闇の中それはささやかな点となってそして消える…まるで救いのない浄
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