二千九年、LOVE/捨て彦
の眼は好く潤み、薄く微笑していた。
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残ッた四人の空けた酒の数は大層なものになッていた。伊藤とナンシイは相変わらずの大酒に加え、芙蓉も割りとイケル口である。意外なのは、あまり飲めないと最初に宣言をしていた小山が、其れとは間逆にCocktailをよく空けた事である。
酒の席と云うのは意識せずとも自然と他人の具合を気にしてしまう物であり、幾ら大酒を飲む者でも飲む相手が少酒ならば自然と自制する、相手が大酒を飲めば此方も普段より頑張ると云う暗黙の了解がある、小山の飲酒はそういッた意味で会合の皆を何時もより酔わせた。
「小山さんも結構飲むんだねエ」
椅子に深く体重をかけたナ
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