二千九年、LOVE/捨て彦
 

「オイオイ、橋田、今日は豪く酔ッ払ッているナァ。足元が覚束無いぢゃ無いか。」
「芙蓉、大丈夫かい?」
伊藤とナンシイが手伝おうとするが、
「エエ、大丈夫です。チョット、奥に寝かせてきます。サ、橋田さん、布団で寝ましょうネ」
フラフラと橋田が云われた通りに歩いていく。芙蓉がその両肩を軽く持ッて一緒に歩くのを、皆何気無く目で追いかけた。伊藤は芙蓉らが奥に引ッ込む迄見送ッて目線をTableに移すが、その時不図視線を感じた。其れは目の前に座ッている小山の視線だッた。
伊藤は酔ッた視線を何気なく其れに合わせてみたが、其の視線が直ぐに外される事は無ッた。ものの二三秒間、伊藤の眼を凝ッと見る小山の眼
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