二千九年、LOVE/捨て彦
 

「まァ、話したと云ッても、貴方達くらいな物ですケドネ。後数人」と芙蓉が席に座る。
「伊藤さんは、紳士な物腰で、黒田さんは……人懐ッこい感じですかネ…、橋田さんは、すごく物静かな印象だと」
後に続いて小山が空を見ながら芙蓉に云われた事を思い出す、と
「芙蓉ちゃん、此れは僕の直感だがッ、此の彼女の発言は多分ッ、かなり多分にオブラァトに包んである様お見受けしたが、どうだろうかッ」
ナンシイが直ぐに芙蓉の目の前にサキイカを突き出して云う。芙蓉は其の侭、口でサキイカを奪うようにして食べる、ナンシイは小山の方を向き無言で詰め寄る。
「エー、えぇ、…マァ、ヘヘ。マァ、人懐ッこいと云うか… …軟派、
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