修羅を読む(10)/Giton
の風が吹きすさぶ中で、賢さんは、冥界の死者に捕らえられてゆく甘美な感情を抱いているように感じられます。
なお、七つ森を扱った詩「第四梯形」などにも、こうした「船形の山」の観念が影を落としていると思われます。
7 次に、賢さんの「喪神」という語を考えてみたいと思います。
国語辞典によると、
「そうしん【喪神・喪心】(1)気を失うこと。失神。(2)気抜けしてぼんやりすること。放心。」
とありますが、ネットで検索すると、「付喪神」または「憑喪神」という言葉が出て来て、読みは「つくもがみ」で、「長い年月を経て古くなった対象(‥‥道具や器物‥‥稀に動物などの生物‥‥)に、魂や精霊な
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