修羅を読む(10)/Giton
いうのは、地元の人があえて登らない山ではないかという推測ができます。
私は、直接地元の方に確かめてはいないのですが、これらの山にも、冥界の入口のような信仰があるのではないかと推測しています。賢さんの詩を引きますと、
「松倉山や五間森 荒っぽい石英安山岩の岩頸から
放たれた剽悍な刺客に
暗殺されてもいいのです」
「松倉山松倉山 尖ってまっ暗な悪魔 蒼鉛の空に立ち」(風景とオルゴール)
というかたちで登場します。
この詩には、妹トシ子の死を消化しきれない賢さんの心象の中で、これらの山が、冥界の使者、いわば死神のように屹立して見えるのです。そして、夜明けの風
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