スクールガールファンタジーとエトセトラ/aidanico
だとは言っていないんだよ、裏切られただけなんだ。想像をワン・オクターヴ下回った、音が水面を振動させる。震えているのは水槽ではなく、ましてライトでもなく、ぼくだ。気付かなかったことに誰かが舌打ちをして、うすいまぶたを乱暴に千切ってしまった。シフォンのような透かしのかかった、あのひかりを失ったことだけが只かなしい!太宰だって三島だって常に世の中を憂いてそこから抜け出すべく遁世の術を凝らしていたわけなんだけど、ぼくと・水槽と・幾つかの水草と、干上がりかけた魚たちの世界は途轍もなく広く底はかと無く浅い。つまりはとても手垢まみれの、ありふれていて、サイドミラーに俗っぽく映ってしまうような、そんな履いて捨てて
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