気取らない中国小説家余華の『許三観売血記』の文体/里欣
 

気取らない中国小説家余華の『許三観売血記』の文体

前の中国語生徒さんが中国語学習の意味がわからなくなったようで、ずいぶん上級の方なので、余華の中国語版小説『許三観売血記』を薦めた。
実を言えば、余華の日本語版『兄弟』『活きる』を読むまえに、『許三観売血記』を初体験したおかげで、中国語にしかわからない紹興酒みたいな独自の余華味を発見したのだ。
いま何ヶ国語に訳されたこの作品『許三観売血記』は、なぜ日本で翻訳されていないのかと首を傾げるが、二年前の自分は売血なんてむごい話を想像し敬遠していた。しかし改めて読むと、やはり改めて感心した。
余華が決して気取らない。
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