気取らない中国小説家余華の『許三観売血記』の文体/里欣
い。難解で華美の言葉の表面なんてより、スケッチ文体という短剣を自由自在に振舞う。口語や俗語や諺で読者を泣かし、笑わせたうえに、詩のリズムを踊らせている。
時代の苦難の風に吹かれ、命の柳がときに強く時にもろく、だが主人公許三観が決して屈さなく、親子愛、兄弟愛、夫婦愛のために売血した。読む前に読者の前に先入した卑屈感を砕き、許三観の内在がダイヤのように輝いている。
今の中国の小説家たちが長編を書き競っているように見えたが、振り返ってみると、この『許三観売血記』の長さは、寓話的だった。
戻る 編 削 Point(1)