ヒステリカル-ロジック-02【パラダイス・マシンの電池】/北街かな
らばらと空をめぐるのを
みんな悲しそうに見上げていました
…あの電池には
みんなの確信が詰まっていた
どこまでも高く、遠いところまで
その先に暗黒の無限があると知り、それでも
進んでゆけると、着実に
ビルディングのてっぺんには幸福があると聞いて育ちました
手を伸ばして背伸びをすれば
みんな、幸せな顔をして振り返るものでした
ビルの高さとその電位差が、夢で、現実でした
あなたとはじめて夜を過ごしたのも
嵐の夜の過電圧で、ながい闇が巡ってきたさむい春だった
はばたくものは空を覆い、その数はぐんぐん増えてゆくのです
じきに、あなたの呼吸は細くなり、発言はちぐは
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