冷たい戦争/遊佐
 
うなんだと足りない頭で軽く解釈しながら、バカンス色の空の隙間に色の無いフィルムを回す。
実感の無い恐怖と、関わりの無い悲劇は空回りして青空の彼方に飛んで行く、

━泣き叫ぶ子供達の表 情と声。
 銃弾をかいくぐり逃 げ惑う人々の怒りと 悲しみ。
 瓦礫の下に埋もれ、 最早過去になってし まった生活の跡。
 全てを見下ろす青い 空と、優しさの無い そよ風…━


巻き戻せないフィルムは僕の手を離れ、遥か上空へと舞い上がり、長く長く伸びて消えた。

誰かが尊い命を落として行くこの瞬間にさえ、休日は両手を広げて都会からの難民達を優しく誘う
僕は渋滞の中、彼方迄澄んだ青空見上げて溜め息を吐く、
早く君に逢
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