死人(しびと・Emによるテンポ・ルバート)/ホロウ・シカエルボク
なのだろう、ああして地面を踏み損ねて転んだりしないようにリズムを整えているのだ―それともあれは俺を呼ぶためのメロディなのかもしれない、飼主が犬を呼ぶ時の口笛のような―そうするとやつは俺のなにがしかに「恋はみずいろ」を感じているのだということになる…俺の成り立ちのどこかに、それを
中心部には様々な店が並んでいる、レストラン、ブティック、屋台、書店、デパート、菓子店…そしてそのどれもが沈黙している―完全な沈黙、完全な沈黙はもはや沈黙ではない、それは内奥にある様々なものの微細な反響を聴きとろうとしてざわめいているみたいに感じる、俺はオープン・カフェの傘のひとつに身を隠す…百年も前に飲み残されたようなア
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