死人(しびと・Emによるテンポ・ルバート)/ホロウ・シカエルボク
逸脱はプロセスを通過することなく理解出来るものだ
俺はそこで一度目を覚ます、よくいう悪夢の感覚などそこにはない、ただひとつ、忌まわしさの感触だけがふつふつと肌に張り付いている…俺は便所に行く、ほんものの便所でほんものの小便をする…もちろん臭いなど確かめたりしない、それは間違いなく本物の小便で、俺の性器から放物線を描いている…洗面で俺は自分の顔を見る、何か余計なものが付け加えられているんじゃないかと思って―何もない、不用意に寝惚けたいつもの顔があるだけだ―俺は再び時折針を刺されるような眠りの中に堕ちる、ゴーレムはずっと恋はみずいろをハミングしている、きっとあれはやつが動くのにちょうどいいテンポなの
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