死人(しびと・Emによるテンポ・ルバート)/ホロウ・シカエルボク
ることは出来ない、そのことは何度も見た夢だから俺はとうに知っているのだ…ビルごと叩き潰されたりすることがない限りそれは大丈夫、やつは絶対にそれを叩き壊したりなどしない、だってそれはやつを構成している一部であるのだから
その街には誰も住んでいる感じがしない、いや―存在の気配がない、落し物の様にその街はそこにある、唯一の存在である俺はゴーレムの視線を避けながら街の中心を目指す、なあ、小便がしたい、小便がしたいんだけど化粧室はどこだい―俺はいくつかの裏口をノックしてみる、ゴーレムに気取られないように静かに…返事もなければ鍵も開かない、まあ、そのことはおおよそ判っていた、それはどうしてなんて聞くのも馬鹿
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