スピードのある車窓/しめじ
 
ら出たとたんに解けて行く僕の言葉
一瞬の判断で吐き出す
虚言の上に成り立つ売上
誰もが張りぼてを見て安心する世界
知りたくないんだ
面倒なんだ
形の無い嘘のようなものに金庫は破られる
蛍光灯がやけに明るい
目頭に触れる手は僕の左手に良く似ていて
赤いセーターにくるまれた鋏なのだ
舌先で春を探している
嘘で春が汚れて行く
誰もが春を望んでいる
誰もが春を汚して行く
水面に映る鳥居
しずこころなくはなは散るらむ
波紋が
花びらが生む波紋
美しいだなんてそんなものは嘘だ
朽ちて行く花びらに蟲がよりボウフラが湧く
車輪の下に踏みつぶされた哀れな乞食と同義だというのに
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