研究「緑川びの」(3)/生田 稔
、人間の内部にある性に対する不満と、なりふり構わない14歳のそれに対する正直さ。マスターベーションに明け暮れるあの少年の日々の鬱極がそうさせたとしか言いようがない。「おめこ」というい言葉をその頃よく口にした、今ではクリスチャンとなり、不真面目極まるその言葉を、心の内部にあっても滅多に口にはしない。よくこんなことを思う「おめこ」が悪いのなら、何回も何回も実際に口にすればきっと、どうなるか分からないが、どうにかなるのではないかと思う。そんな逞しい力をこの作品に感じる。性の欲求不満は自己尊敬の喪失を招く。自己を尊敬できなくなった特に男性は、気ままな獣慾を発揮するようになる。教職にある人とか社会的に高い立
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